問うと彼は強化ガラスの向こうで瞬いた。それからあー……という間延びした声を上げて僅かに身を乗り出してくる。
「そりゃ俺、ソラリスにエネルギー貰ってるからな。寿命も伸びるだろ」
少年はあっさりと、初めて耳にする事実を言ってのけた。
姿は幼いが最早少年と呼べる歳ではない。牢にぶち込んで両手で足りない年数が経過している。とっくに中身は青年かそれ以上……いや、それは牢に入れる前からだったか。
「ソラリス?」
「生身の俺がアンタらと戦えたのだってその恩恵があったからだろ?」
「GUNには言ったのか?」
「言うわけあるか。バレたら腹かっ捌かれかねない」
告げ口したきゃしてもいいぜと相手は飄々笑っている。まるで怯んだ様子も無く、呆れた自分に対しついでのように付け加えた。
「ま、そうなったらアンタも一緒に実験台だけどな! 不老不死をストレッチャーに並べて楽しい実験パーティだ」
どこかで聞いたような物言いに思わず額を押さえた。苦虫の代わりに言葉が漏れる。
「嫌な奴になったな……」
返事の代わりに楽しげな笑い声が反響した。
看守と囚人(shadow&silver)